『燈台守(Gardiens de phare)』Jean Grémillon,1929

9/20。フィルムセンターにて。サイレント。白い看護婦みたいな帽子?をかぶった妻と、一ヶ月のあいだ燈台を守りにいく旦那とそのおとっつぁん。出発の前日に旦那を噛んだ狂犬病の犬と、穏やだったのに荒れ狂っていく波と、灯ったり消えたり灯ったりする燈台。の話。悲劇風。


写真などがありますCensures (1929) article de Marcel Carne dans Cinemagazine | Marcel Carné


最初の方はよかった。ゆっくりの展開がここちよい。波がながーくながーく押し寄せてきてすすーっと戻っていく。旦那は船をこいで陸から離れていく。旦那を見送る妻がハンカチでゆっくり涙をぬぐう後姿がいい。妻が近所の女2人と話していると、でっかいダックスフントみたいのが馬車の荷台で狂ったように獣の顔して咆えている。この犬の狂いっぷりったらない。過剰に狂ってる。旦那のこぐ舟の向こう、燈台と小島が見えてくる。嘘みたいにピカピカした水しぶきのきらめきで画面が埋まる。旦那の燈台を見る首筋から頭のどっしりとした後姿がよい。妻も旦那も前を向いているのだね。堂々とした展開がよかった。あとは、燈台の光と影でどこまで遊べるかというところ。回想シーンで犬がけられてるのが可笑しかった。まあ、腕噛んだら蹴られるだろうけど、本気で蹴られてなかったか。あと、幻想シーン最期で犬が走っているのをえらい綺麗に写してたけど、あれはいったいなんだ。あと燈台の中が近未来的な空間になってるのが面白い。


燈台の中で狂犬病が発病して、遭難信号を出しても大時化で助けが来そうになくてって状況で「二人は囚われの身!」って字幕がなんか可笑しい。続けて、噛んだ犬が檻の中に入れられて「殺すしかありません」て字幕出されて、普通にかわいい犬の顔に戻ってるのもまた可笑しい。最終的にはおとっつぁんが無茶苦茶頑張って締める。崖からの落下シーンでカメラがぎゅりゅぎゅりゅ回転したのとか、画面いっぱいに「つとめを果たさねば!」(仏語が苦手で書き取れへんのでした。。。)が横に流れるのとか、意外もいっぱい。



その後、『死刑執行人もまた死す(Hangman Also Die)』『マンハント(Man Hunt)』『音楽』(増村保造)。今日はどれも確かな楽しみがあったけど、なーんか物足りない。そんな一日。勉強にはなったけどなー。というのが昨日の話で、今日は会社ちょっと行ったあとワイズマンの『州議会』を観てきた。