「精神」観察映画とどう向き合うか

自分の感想というかレポートというかが気に食わず下書きのままにしていたけど、思い直して更新。続けることが大切。

このドキュメンタリーの「カーテンをとる」ということについて。どうやらカーテンの向こうには暖かいものと狂ったものが同居しているらしいこと。そしてそれが人間という包みの中で、自身の物語を持ち、顔を持っていること。少なくとも、そういったことが経験できるドキュメンタリーだと思う。

この映画をみて、カーテンがとれればそれは結構なことであり、よい経験をしたね、と言える。しかし135分間の映画を観たくらいで無くなるカーテンなら自分で外せるはずなのだ。なのでカーテンがとれたかどうかは実際のところ映画にとっては大事じゃない。映画なんて自分の価値観を鏡のように跳ね返してくるだけじゃないか。こちらが注意深くかつ素直な態度のときだけ、あるいは弱っていたりしてうっかり気を許しているときだけ、実は鏡が少しゆがんでいるおかげで、知らない世界に出会えることもある。

この映画を「観察映画」と監督は呼ぶ。といったあたりのことについてずっと考えてるけどまとまらないや。でもとりあえず人にすすめたくなる映画。でも感想をきいたところで、カーテンをぶつけられるのがオチかもしれないという悲観もある。

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以下、下書き保存していた気に食わないダイアリー。

雨。渋谷駅に着いた時点で19時。予告編10分とのことなので宮益坂を走る。コンビニで500円の傘とパンを買う。横断歩道でパンをねじ込む。ティーチイン(質疑応答)は今日までなので来れて嬉しい。19時からの回は英語字幕つき上映。最初、通常版(字幕なし)で上映が始まってやり直しというハプニングでおやおやムード。お客様たちに一体感が。言い過ぎか。

ドキュメンタリー映画『精神』
公式サイトhttp://www.laboratoryx.us/mentaljp/index.php


英語タイトル: MENTAL 製作年度: 2008年
監督: 想田和弘 上映時間: 135分


釜山国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞
ドバイ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞
マイアミ国際映画祭 審査員特別賞
香港国際映画祭 優秀ドキュメンタリー賞
ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭 宗教を超えた審査員賞


『精神』は、外来の精神科クリニック「こらーる岡山」を舞台に、心の病を患う当事者、医者、スタッフ、作業所、ホームヘルパー、ボランティアなどが複雑に織りなす世界を観察したドキュメンタリーである。日本社会がタブーとして来た題材を敢えて正面から見つめ、当事者たちの日常生活、思想、不安、悩み、苦しみや喜びに肉薄した。『選挙』の想田和弘監督による観察映画第2弾!

上映後のティーチインにはNHKおはよう日本」の取材が入っていた。質問したので写るかな。放送日がわかれば親に連絡するのにな。次回作は劇作家の平田オリザ氏と青年団のドキュメンタリー『演劇(仮題)』だって。帰り、ついこないだ観てきた芝居「一月三日、木村家の人々」とか「LOVE」の役者の人とかいるのに気付く。ほうほう、次は演劇か。楽しみ。

こないだの土曜が初日。行列までできて立ち見まで出たんだと http://documentary-campaign.blogspot.com/2009/06/blog-post_13.html。取り扱った内容とその取り扱い方が話題になっているのだろう。ネットでいろいろ見てたら同じこらーる岡山の患者を素材にした「キチガイの一日」(監督・山本明子さん)という自主制作のドキュメンタリー作品の存在を知る http://akirako1212.cocolog-nifty.com/blog/。いい機会なので東京で上映会してくれないかな。


  • こらーるに一人の女性が入ってくる、始まり
  • 字幕をちらちらみて、躁鬱病 bipolar disorder、とか英語の勉強もする
  • 自殺願望のあるおばちゃん、の老いた母のうつむき
  • おちつかず(restless)ひとりになると死ぬことを考えるスキンヘッドのおっちゃん、短期目標を立ててはどうかの提案に対して、聴いていると落ち着けるというFEBCを毎日聴くと応じる、さっきネットで調べたら「キリスト教放送局日本」なんだと
  • けっこうなお年の山本先生、だるそうで眠そうに見えるが天才、講演のシーンでの仕掛けが必見
  • 「自分に○をつける」
  • 橋本からの手紙の内容がぶっとんでいる
  • 幻聴の女性、半生を語るその語り口が流暢すぎて痛ましい、何度振り返ってこられたことだろう、「弁当食べてるときに」の話は聞いててつらい
  • 食事サービスを行う作業所「ミニコラ」にて支払いの硬貨を丁寧に表向ける男性、弟を思い出す
  • 先生もミニコラで食べる
  • ほえる犬
  • 自立支援法
  • 母亡きあとの自分のご飯を心配するおっちゃん、昭和58年に一度だけ料理したことがあるそう、なぜ正確に覚えているのか
  • 「薬ききすぎる」
  • 薬を先生に紹介するMR
  • 夜、モノレール、ねこ、地下鉄入り口、ギターを弾く若者、それを聞く女の子、夜の街
  • 薬がカラフルで種類がむちゃくちゃ多い女性、昔の写真だとけっこう美人
  • 川、橋、鳥、自転車に乗ってケータイをいじる女子高生
  • 「じゅんいちろう、早く帰ってきてちょーだい」
  • 生活保護指定医院>
  • インベーダーが頭の中にいる男性の覚悟「何をするかわからん」「責任はとる」
  • 変な息をする犬
  • 風呂のパイプ掃除、つまっているらしいが割り箸を浅いところにつっこんでもひっかからない、奥の方がつまっている、それはまるでそれだ
  • <仏教講座>
  • 病院の経営状況の話、ここは楽しい、山本先生すごいひと
  • 山本先生がホームヘルパー向けの講演をしている、紙を裏向けて書かせる仕掛けがすばらしい
  • 白いネコ、自転車に犬を乗せるおばちゃん、いろんな人がいる
  • 1.5リットルペットボトルのダイエットコカコーラのおっちゃん「はいカット」言いすぎ、けどええこと言う、隣にいる三宅さんとのからみがいい
  • 「カーテン」「偏見」「どうやって取り除くのか」
  • カーテンとったらこういうものが見えるんです!というのはこの作品の中には無く、もしそれが見えたとしてもそれはカーテンの向こうではなく、カーテンのこちらから見えた気がしただけなのかもしれない、あるいはカーテンの向こうから飛び出してきた狂気かもしれない、なので人物それぞれをただ見つめる、じっと、どうせなかなかちゃんとは見えないのだから、ただじっと見つめる
  • たばこすいすぎ
  • 「はいカット」のおっちゃんの詩の朗読、「今」の詩で泣きそうになる
  • 「全人的健常者なんていない」
  • どこかに電話かけまくっいていた男性がこらーるから出て行くラスト、これがラストになるのは必然、じゃなけりゃカーテンをとる意味がない

ティーチイン

  • 「観察映画と呼んでいるが、観察とはいえ主観であって客観ではない」
  • 木とかネコとかのカットが印象的。に対して「社会的な文脈、もっと言えば、宇宙的な文脈へ置きたかった」
  • 言いたいことは何か?に対して「メッセージはない。経験して欲しい」
  • 私の感想と質問「気持ちのいいものだけではないというラストがよい。これからいろいろあると思いますが、責任を負う姿勢、尊敬します。質問は、映画としてカットして切り落としたものは?」に対して「ハッピーエンドにはしなかった。そうすると自分の実感とは違うものになる。質問に答えると、70時間の映像を編集しているのでたくさんカットしている。意図的にカットしたのはきわめて個人的な内容に触れたものくらいで基本的には意図的なカットではなく、自分が経験したことにマッチするようなものとして編集していった」
  • 日本の状況「失敗したらやり直しがきかない感じ」が気になっている、とのこと