意外と死なない

ユーロスペース映画美学校セレクション2009

『意外と死なない』(第1期フィクション・コース高等科実習作品)
1999年/16mm/42分
監督・脚本:大九明子
出演:億田明子、けーすけ、愛染恭子
あいち国際女性映画祭ワークショップ参考上映
一昨年、新垣結衣主演第1作『恋するマドリ』が公開された大九明子監督が、第1期フィクション・コース高等科の実習作品として監督、主演した作品。大九の大胆秀逸な演出力が随所に光る作品となっている。古澤健安里麻里ら後に商業デビューする監督たちがスタッフで参加。

主人公の女教師のキャラクターがおもしろい。痛いから逃げてるのかSEX恐怖症なのか、でもそのくせに勝気というか強気というか自己肯定感情は強くもっている。いま書いてて頭の中で「サバカレタイ」という音が鳴った。だからきっと、男に、あるいは、不完全な者どもに、裁かれたいと思わせるような超越した存在感のある女ということだろう。でもやっぱり人間で、ということでお話が展開していくと。

校庭で女教師がドッジボールの線を引くのが好きだ。そのあとのドッジボールの子供もいい。女がチャリで男が原チャのシーンの川端の道が好きだ。住宅街と川にはさまれた道ってどこか安全や幸福のかおりがする。小さい秋のオルガンいい。聞いてる小学生たちのうれしそうな拍手が最高。お前らほんまに歌のよさわかるんかー。この映画、子供が愛らしい。そのあと廊下でひとり口ずさむ1オクターブ下げた小さい秋の歌、音程が異常に正確で、低くて出ない高さがあるにもかかわらず、全く音を外さないのに尊敬する。そしてもちろん「なわけねぇだろうがっ!」が最高。

安定感があるけれども、それは過去への参照に支えられているものかもしれない。よくはわかんないけど、80年代っぽさとか、キャラのもつパワーとか、への信頼かな。