『魔眼』『大拳銃』『×(かける)4』

映画美学校セレクション2009
http://www.eigabigakkou.com/public/txt21.html


ユーロスペースの受付で一瞬迷ったが3回券を購入。今日合わせてあと3回。明日と明後日がかなり楽しみなので頑張る。

『魔眼』(第9期フィクション・コース高等科修了作品)
2008/16mm/25分
監督・脚本:伊藤淳
出演:谷更紗、小田篤、渡辺美穂子、舘美涼、秋山輝雄
第9期フィクション・コース高等科修了制作として作られた作品。主人公真知子の目の前に横たわる母と妹の無惨な死体。絶望の淵に立つ彼女の目には日常を超えた世界が映しだされてゆく。映画開始から息もつかせぬ恐怖の物語。


映画が始まる=侵入者の登場・殺戮開始! 映画の観客が主人公と共に味わった恐怖・痛みのリアリティがすぐに宙吊りされては最後まで目が離せないわけで。楽しい。車中でのコンクリブロックでの攻撃がかわいい。

『大拳銃』(第9期フィクション・コース高等科修了作品)
2008年/16mm/31分
監督・脚本:大畑創
出演:小野孝弘、岡部尚宮川ひろみ、三宅和樹、杉江義浩
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門審査員特別賞受賞/PFFぴあフィルムフェスティバル)アワード2009入選
不況下の町工場を舞台に、拳銃の密造をテーマに繰り広げられるアクション映画の傑作。第9期フィクション・コース高等科修了制作として作られた本作は『魔眼』とともにフィクション・コースのカリキュラム改革以降に誕生した新しい展開を示唆する作品と言える。


こないだPFFでフィルムセンターでも観た。工場のすでに終わってしまってるような空気が好きだ。裏切った女のつぶれた手の平をテープでぐるぐる巻きにするだけでもおもしろいけど、その行為をするときの主人公の仕方なさげな表情がよい。大拳銃の充填音が笑える。楽しい。


ちなみにPFFアワード2009は『VISTA』か『chain』がグランプリじゃないかと思う。『Vista』は観てないので適当予想だけど。『chain』は、16mmで引き立つ雰囲気(錆びた歩道橋・高校の教室・古びた安いラブホテルの駐車場入り口・安アパートの1Fの湿った部屋・高校の校舎)と、沈黙しながらもういいもういいもういいというオーラを背中から発する主人公の演出がよかった。主題はひょっとすると時事ネタ臭くうけとられるかもしれないが、それはどうでもよくて、徹底された演出のねちっこさに何か知らないものを見せてくれるかもしれないと期待した。あるいは実は描きたいものが明確な監督だったりして、だとしたらつまらないけど。

『×(かける)4』(第10期フィクション・コース高等科コラボレーション作品)
2008年/DV/40分
監督:万田邦敏/脚本:福井早野香
出演:砂野安紀、梓未來、苧坂淳、秋元貴秀、高森ゆり子
第10期フィクション・コース高等科で講師と受講生のコラボレーションにより制作された作品。高等科在籍生の福井早野香の脚本による男女高校生4人の苦しくて痛い片思いのスパイラルを、万田邦敏が見事なカット割りで描いた青春映画。

階段の踊り場での手に触れて拒むシーンの直前の教室の映像がうそみたいで好き。ロッカーから出てきたごみに呆然とする女が奥に写っていて、手前から男が向かって行って、そしてなぜか振り向いてこっちに戻ってきて、カメラが奥からに変わって、男がゴミ箱を持って女のほうに向かってきて、ゴミ箱どん!という流れが気持ちよかった。へんなおっぱいの見せ方にとまどう。4人が仲悪くて胸が苦しいのにもかかわらず、仲良くぴったり台詞をキめてくる虚構感あふれるラストが笑えて気持ちよくて好き。