大島渚『少年』『絞死刑』

『少年』
   1969年/大島渚プロダクション/99分/田村孟脚本/渡辺文雄主演
『絞死刑』
   1968年/大島渚プロダクション/117分/田村孟、深尾道典、佐々木守大島渚脚本/佐藤慶主演

銀座シネパトス 日本映画レトロスペクティブ―Part3―〜愛と性、体制と権力 大島渚 闘いの歴史〜


忘れないうちに。電車で帰れない日が続くので仕方なく手短に。


『少年』は単純な話のように見えて、少年が海に行くシーンからの続き方がよくわからなかったのと、カラーと青っぽい白黒と赤っぽい白黒と3種類くらい色を変えてたと思うんだけど、それでどうしたっちゅうねん状態で、何にもわかった気になれなかった。大島渚をいくつか見たので、小山明子という女優が好きになってきた。なぜ常に眉毛がないのか。平安妖怪ぽさが漂っていらっしゃる。当たり屋として食ってくことにした家族の話なわけだけど、だれが悪いのか、だれがあほなのか、はっきりしないのはいい。ああああ思い出した、2歳くらいのおちびちゃんがかわいすぎたんだった。後半の北海道あたりなんかこどもがかわいいだけの映画になってたよ。あと事故にあう車の中の少女がかわいい。あとビンタのオンパレードも楽しい。もちろん子供だってビンタされる。強いのか弱いのかよくわかんないガキんちょっていいよね。


『絞死刑』は喜劇と知らないで観たらずっこけた。ずっと死刑囚のことをみんなが「R」て呼ぶのが可笑しい。姉みたいな女性が出てきてそいつもまた「R」と呼んでからに。「R」は何の頭文字なのかという問題のこたえはわかんなかったな。で、あまりにも死刑囚を除く全員が役者として全力で笑かそうとしてくるので、こっちは力が抜けてしまって、だんだんもともととぼけた顔つきの佐藤慶なんかがコメディアンにしか見えなくなってくる。いよいよ茶番劇が終わって、死刑囚は死刑になるわけだけど、ここで日の丸と死刑囚の顔を重ねたりして、いつもの大島渚らしい画とセリフのかけあいが始まるので楽しい。死刑囚が急に無罪になったりね、死刑場から出ようとしたら外がまぶしくて、検察官様が「外は国家だ」とか言ったりね。死刑囚にあなたは国家ですかと問われて、佐藤慶が「いやいや、私なんかみんなのうえにふわーっと乗ってるだけで」みたいなことを言うので笑い死にそうになる。