「ハーヴェイ・ミルク」たくさんのローソクの灯が強く美しい

近鉄から市営地下鉄への連絡があるのがすばらしい。電車賃も安いし。京都シネマ到着。「ハーヴェイ・ミルク」観るなら、ってことで「ミルク」上映後のトークイベント(「ミニレクチャー」と書いてあった)に入れてもらえる。うれしっ。

・5/2(土)『ミルク』15:40の回上映終了後、『ハーヴェイ・ミルク』19:35の回上映前
鬼塚哲郎氏(京産大文化学部ラテンアメリカ文化専攻教授)
山田創平氏京都精華大人文学部都市社会学講師)
テーマ「対談・ゲイコミュニティ古今東西

日米比較の話で日本ではセクシャリティアイデンティティがゆるくしかつながっていなくてだから政治化されにくいという話がおもしろい。日本で男色が禁止されたことはほとんどないんだって。明治初期に「鶏姦条例」が10年だけ存在してたのが例外なんだと。へえ。「東海道中膝栗毛」で陰間(かげま)茶屋に行く話とか。かげまってこんな漢字なのかへえ。しりあがり寿の漫画でしか知らなかったけど弥次さん喜多さんは本当にセックスしてたんだなあとか。飯盛女(めしもりおんな)という言葉を初めて知った。みんなも勉強するといいよ。陰間 - Wikipedia飯盛女 - Wikipedia森鴎外ヰタ・セクスアリス」と夏目漱石「こころ」との間くらいで男色がタブー視されてくる心性史的な変遷とか。おもしろすぎた。大学の先生はさすがによく知っている。鴎外のあたりに生まれてたら中学か高校で絶対やられてたなあ俺。

ゲイコミュニティの日米比較で、日本では新宿二丁目堂山町とかだが、人は住んでなくて夜行くだけなので、政治的な権利主張につながっていかないんだと。米国の場合は映画に出てくるカストロ通りみたいに人が住んでいて選挙によって当選ということがありえるんだと。あーなるほど。

質問用紙に日本のオカマ文化ってあると思うんですけど、どうでしょう、みたいなことを書いたけど取り上げられなかったのが残念。ちなみにおすぎさん(おすぎのシネマ言いたい放題 - TSUTAYA online)は映画「ミルク」についてショーンペンすげーだそうで。淀川長治さんもゲイだったようですが「ハーヴェイ・ミルク」へのコメントは見つからず。劇映画が好きだったのかな。終了。

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]

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ハーヴェイ・ミルク
1984年/アメリカ/87分/パンドラ

ハーヴェイ・ミルク』(原題:The Times Of Harvey Milk)は1984年のドキュメンタリー映画アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞を受賞している。これ傑作なんで多くの人に見てほしいです。見たくない? やっぱショーンペンが見たい? 生ミルク見たくないの? 2つ大事なことを言います。ミルクはゲイなのに頑張ったから素晴らしい、のではなくユーモアのセンスとコミュニティへ貢献する姿勢が素晴らしい。もうひとつ、暗殺されたけど市長が先に撃たれてるからゲイとして(マイノリティとして)殉死したのだとは言いにくい。もうひとつ、撃ったホワイトがいまどうしているかを知らない人は知らないまま映画を観たほうがいいよ。以上、大事なこと3つでした。映画はいいからとにかくミルクさんについて知りたいという人はどうぞ。その態度も好きだ。ハーヴェイ・ミルク - Wikipedia

ミルクってユダヤ人なんや、へえ。ゲイはお手本になるべき職業にはふさわしくないから学校の先生やめなはれっていう「提案6号」ひどいね。ミルクがゲイ差別するおばちゃんと握手したときの話で「よく握手してくださいましたね。私の手が何を握ってきたか!」とか最高。ほんまはおばちゃんもおんなじもんを握ってきてるので別にどうってことないけどね。でも提案6号は採択されないのさ。なんと59対41。えーなにこの僅差。ミルクが暗殺されたあとのローソクの灯を持った行進が圧巻。涙が止まらない。Where is your anger?と黒人の男が怒鳴っていたそう。ローソク行進を報道する新聞の見出しはThe City Weepsだって。ああ涙が止まらない。このドキュメンタリーうまいこと感情を揺さぶってくるなあ。

犯人のダン・ホワイトは元警官で新聞にEX-Copって書いてあった。へえそう書くのか。さてこれで「ミルク」を観る準備はできた。