「ジャップ・ザ・ロック・リボルバー」健常者/障がい者を越えてではなく

仕事終わって不安いっぱいで家に帰ってきて、財布あるかなーと思ったら見つからない。警察署行くしかないかと思ったけど、無くなるはずがないんや!と強く唱えてパジャマをどけたら財布出てきた。レッツゴー映画館というわけで、渋谷で「ジャップ・ザ・ロックリボルバー」を観た。上映直前に場内アナウンスがあり、「ダークナイトは他方のスクリーンでの上映です」と告げられると、3人くらいが足早に出て行った。

http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=202
http://www.suiken666.com/jap/

耳が聞こえないからバンドやってます!!

聴覚障害者4名と健聴者1名で構成された手話ロックバンド「BRIGHT EYES」は、2008年で結成20年目を迎える。
どうして耳が聞こえないのに、バンドを組もうと思ったのか?耳が聞こえない彼らは、バンドをしていて楽しいのか?正直言って私も最初は、そんな凡庸で陳腐な疑問を抱いた。
1曲覚え、ステージで披露するまでに半年かかる。また、ようやくステージで歌えたとしても、観客の歓声、拍手はおろか、自分達の奏でる音や歌声すら聞こえないのである。
だが、彼らのライブを生で体感した時、その痛々しいほどの生命力に体中が震えた。生きていることの喜び、そして圧倒的な孤独をすべてロックンロールというパワーに変えてきたのだろう。はみ出し者の美学を求めて……。
この映画は、ままならぬ世界でのたうちまわりながらも、自由を求め続け踊り続ける彼らの叫びに迫ったドキュメンタリーである。
―監督:島田角栄

5月22日(金)“表現者達が語る島田映画”
ゲスト:鳥肌実さん、松本さゆきさん(女優)、リカヤ・スプナーさん(俳優)

身内に知的障がい者がいる身としてはけちょんけちょんに揺さぶられてしまうところもあるが、それは差し引いても、なかなか面白いドキュメンタリー作品だと思う。映画の素材としてみたときに、手話のコミュニケーションがおもしろい。手話を見ていると別の時間が流れているような気がしてくる。あと家族のシーンがとーっても楽しい。いろいろ思うが、監督兼インタビュアーの踏み込んだ質問をするときの「大変申し訳ない質問なんですが」とか「これまた大変失礼な質問で申し訳ないんですが」といった断り文句自体が示していることについても思うところがあるが、そういうレベルは超えたところへは届いていると思う。しかし最期のバンドのボーカルである鈴木さんとのインタビューがやばい。ここまで、語りを通して、健常者と障がい者との違いや、障がい者を産んだ親が思うことなど、いろんな事実を知ることで知識不足に基づく偏見が陳腐化し、多様性への視座が開かれる、みたいな方向に築けてきたのをすべてゼロにする展開。聴覚障がい者としてではなく、一人の奇妙な人間として立ち現れてくる。気持ち悪さすら感じるくらいだが、この作品のよさはここにある。

上映後のトークショー鳥肌実さんが来る。生で見るのは初めてで結構うれしい。鳥肌実さんは、椅子に座りながらも、ずっと足を動かしていたのが印象的だった。Vシネマで活躍したいとのこと。