あんにょん由美香:テンションの持続が気持ちいい

映画観て頭使うのに疲れてきて、というか飽きてきて、さらには弱気になってきてくじけそう。渋谷センター街にいるようないないような変な気分になった。頭使わないで済みそうな映画か、力が沸いてきそうな傑作が観たいと猛烈に思って、仕方ないエヴァ破の2回目行くかと思い、新宿バルト9に電話したら、1時間後の回も既にほぼ埋まっているとのこと。なのでポレポレ東中野に向かう。今週3回目。でもどこ行くのも駅から近いから東京は楽チン。「あんにょん由美香」はなんだかんだでもう15回以上は予告編を観てる。

http://www.spopro.net/annyong_yumika/
http://www.mmjp.or.jp/pole2/



林由美香のことはこの映画で初めて知った口で、俺には松江哲明監督の林由美香への思いに共感するための素地がない。けれども目が離せないし飽きないしかなり集中してみてしまう。あからさまな感情移入の仕掛けがあるわけでもないけど、振り返るにスピード感が絶妙なんだと思う。カットが細かいけど、気になるほど細かいわけじゃない。インタビューも飽きる前にほかのひとにバトンタッチしていく。2時間の持続が気持ちいい。


エロ映画に出演する役者の生活や、エロ映画に対する韓国人の意識などが見えてきて、だんだんと広がりが出てくる。こっからは映画を観る側が頑張る番だなあ。どれだけすくいとれるかで面白さもかわってくる。エロってなんなんだとか。けど、所詮エロだ。所詮エロじゃなくなったとしたら話がおかしくてなってしまうのであって、「所詮エロ」についての映画だ。所詮エロなのだから、韓国人の「好きなんだろ」という台詞に対して笑ったのと同じ質でもって、この映画のオチに対しても笑えばいい。男たちが林由美香に向かって必死の演技をしているんだ。


オチはどうでもいい。無くてもいい。正直、どう終わらすのかについては最初の方からどうでもいいと思って観た。一度切りの真相究明プロジェクトにも見えてくるけど、その真相を知ったところでだからどうって話で。松江哲明が頑張ってるから応援して楽しめた!ってのも変。友達じゃないし。そういうので十分満足できる人もいるだろうけども。こういうことが言いたくなるのは、この映画に漂っている雰囲気、何かを美化するような・何かを慰めるような雰囲気が気に食わないのと、でもそれを真っ向から否定もしたくない気持ちがあるからだ。ひょっとすると、「所詮エロ」ですら言い過ぎなのか。


それでも2時間続く気持ちよさが確かにある。それはこれがドキュメンタリーだからだし、死んだ人へのいろんな人の思いが素材だからだし、テンポがいいからだし、松江哲明の映画だからだと思う。


ところで「たまもの」の林由美香がむちゃくちゃかわいい、観たい。