愛を読むひと・或る音楽

仕事が多忙でいまいちな週だった。終電乗れずにタクシーで国道一号線を眺めるのも久しぶりな感じ。なので金曜は絶対早く帰ると決めていたのだったさ。えーがみたいえーがみたいえーがみたい。

愛を読むひと

観てよかった。

評判悪くないので前売り買ってみておいたんだけど、気付いたら最終日だったみたいで観るものが自動的に決まった。ケイト・ブランシェット知らなかったけど。品川プリンスシネマは空いてて観やすかった。

あとで調べてたら原作の日本語翻訳「朗読者」の発表は2000年で、ドイツでの原作発表は1995年。20世紀が終わりかけるころの小説。英語だとThe Readerだけど、ドイツ語原題はDer Vorleserなので読む人は男だとわかる、というか決まる。それって本当? 不明にしたい場合は冠詞を中性のDasにするの?本当か?デフォルトだと男性のDerにする、という文化ではないのか。

ドイツ文学だけど映画の中ではみんな空気を読んで英語を話す。聴き取りやすい英語なのでがんばったらけっこうわかる。キネ旬のインタビューで、原作者のシュリンク Bernhard Schlink が「まあ最初はびっくりしたけどな、ゆうても俺も大人やし、国際化されたと思って満足してんねや、まあええんちゃう」みたいなことを言ってた。

前半ハンナがエロい。むちゃくちゃエロい。村の教会で聴く賛美歌が美しい。歌って、いいよね。ソフィーというかわいくて若い女が誘惑しすぎ。少年の父親は飯食うときずっと本読んでる。いろいろ過剰でおもろい。はだかがいっぱい。少年が大学生になる。またかわいこちゃんが出てくる。ずるいぞ。死の行進、デスマーチ、「マーチなんかじゃなく、ギャロップだった」。大学の講堂で教授が来ても学生が堂々とタバコすってて、先生も咎めないのがいいね。あとSEXシーンで、男性器がきわどく見えないのがすごい。

終わりのほう、テーブル4で二人座ってる横からのシーンをもっと長くみたい。「you've grown up, kid」、泣けてしょうがない。台になった本の中にリルケ詩集とかあった。手紙の「Tell Michael I said Hello.」でボロ泣きしてしまう。ラスト手前の生き残りの女の人に会うシーン。やたらと白いイメージで埋め尽くしているのは何なんだ。服まで真っ白い。あとここだけやたら人物をほぼ正面からどーんっとがつっと見据えるように映してる。このくだりは何か異様な空気がある。どうしたい。観客を巻き込みたい?

「ほな、あんたやったららどうしてたん?」という裁判でのハンナの台詞がまだ頭の中に浮いてる。

或る音楽

思てたんとちゃう。

高木正勝という映像作家・音楽家のライブとインタビュー。コンピュータで作った作品がきもちわるくて良い。音楽のほうは、いろんな国の音楽を混ぜたような感じ。ヨーロッパ60%・アフリカ30%・アジア10%ぐらいの配合かな。いまいち音楽はぴんとこない。もっともライブで聴いたら違う印象があるかもしれないけど。

ただ話している内容が気に食わない。私的言語は可能か、じゃないのかあれは。自己陶酔している感じが何か違うくないかと思う。宗教なき宗教音楽、とか思う。7/15(水)はトークゲストが中沢新一だった。本当はこの日に行きたかった。中沢新一が来るってことはつまりそういうことなんじゃないのか。

けちばっかつけてるけど、そもそもは大友良英のドキュメンタリーだと勘違いしてて、ろくに事前調査もしなかった自分が悪い。

ホテルの窓からの見える海の波のきらきらがむちゃくちゃ美しい。海きらきら。

予告編でも出てくるけど、笙という笛の音がたまらない。やさしくて落ち着く音色。欲しい。そのうち買うぞ。

パーカッションの女性がかっこよかった。エンドクレジットでパーカッション:佐藤直子とあるので覚えておく。