『東京戦争戦後秘話』大島渚・武満徹

『東京戦争戦後秘話』1970年(S45)/創造社、ATG/白黒/94分
■監督:大島渚/脚本:原正孝、佐々木守/撮影:成島東一郎/美術:戸田重昌
■出演:後藤和夫、福岡杉夫、福田健一、岩崎恵美子、大島ともよ

ラピュタ阿佐ヶ谷 武満徹の映画音楽 http://www.laputa-jp.com/laputa/program/takemitsutoru/

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題字のフォントがかっこいい。


さて。いいねえ。昔の東京がいっぱい写ってる。冒頭で、死んだ友人のカメラを奪った警察の車を追いかけるのが楽しい。音楽がロマンチックでかっこよくてしびれる。数寄屋橋あたりで車と一緒に昭和通の地下にもぐってた。家の中の白い花がたくさんつまった花瓶(植木鉢?)が嘘みたいにでかい。千駄ヶ谷駅から明治公園へ向かうカメラに写ったデモ隊は本物なんだろうか。ああああフィクションとドキュメンタリーのからみが心底好きだよ。何十年か寝かしてから観たら歴史のスパイスが効いて極上。


白黒なのもあってどこか乾いた感じのするそっけない風景たちが、なんと言うべきか、堂々としていて、映画のワンシーンとしてではなく、たしかに人間が生きていた風景として、しかも美しく佇んでおる。


物語は、フィクション(映画)とフィクションの中のフィクション(映画の主人公の幻想)の権利の奪い合いだ。その区別が服装というのがわかりやすくてよいね。でも途中で寝たので込み入った展開はよくわからず。裸の女の背中をスクリーンにして映画を映すのっていいね。女は死んだ友人の撮影した風景と同化しようとしたのか。風景を撮ろうとする主人公を邪魔して、女がタバコ屋での電話で「ええ、いいわ。私ならいいわ。ええ、いいわ。ええ、いいわ。私ならいいわ」みたいな台詞を言うところが大好き。女がとらわれて車に乗せられて、カメラが女の視点をなぞりだして、車道が天地反転した映像がまるで未来のようでかっちょよかった。あれは池袋あたりだったか。


ラピュタ阿佐ヶ谷に来たのは初めてでレトロな雰囲気が何かいいな。



ぜんぜん関係ない話ですが、昔、邪魔になった1円をゴミ箱に捨てる話をしたら会社の同僚に驚かれて、こっちが驚いた。捨てたらあかんの? たしかに、子供のころ親からお金は捨てたらあかんとは言われたけど、それはそれじゃないのか。