アニエス・ヴァルダ:『オペラ・ムッフ』『ダゲール街の人々』『冬の旅』『コートダジュールの方へ』『ドキュメントする人』

東京日仏学院「アニエス・ ヴァルダの世界」

アニエス・ヴァルダの最新作『アニエスの浜辺』は、私たちをひとりの夢見る女性の人生の中にどっぷりと浸るよう誘ってくれます。幼年時代から甦る記憶、そこからの反響、ジャック・ドゥミについての想い出、映画についての様々な思い出、考察。『アニエスの浜辺』は、つねに世界の激動と並走する作品を撮り続けてきたある比類なき映画作家の道程そのものでもあるでしょう。この素晴らしい傑作、『アニエスの浜辺』の日本公開を機に、東京日仏学院岩波ホールは、同作の先行特別上映会を行うと同時に、日本未公開の処女作『ポワント・クールト』や美しい短編作品『コートダジュールの方へ』、代表作『5時から7時までのクレオ』『落穂拾い』など一挙上映。また彼女の人生のパートナーであり、世界中で愛され続けている映画作家ジャック・ドゥミの諸作品も、併せて岩波ホールにて上映します。

http://www.institut.jp/agenda/festival.php?fest_id=66


アニエス・ヴァルダ Agnès Varda [1928-]を知るために飯田橋まで行ってきた。

うちの妻ってどうでしょう? 2 (アクションコミックス)
福満しげゆき「10代のときはフランス映画とか観てカッコつけてたクセに」
妻「若かったっちゃんね」

『僕の妻ってどうでしょう?』を寝る前に読んではニヤニヤしたり爆笑したりしてしまう。最高。『鈴木先生』と同じくらい好きだ。急に漫画の話パターン。そういうもんでしょ頭の中なんて。


ところで『アニエスの浜辺』9/12(土)が入場無料だそうですよ。
http://www.institut.jp/agenda/evenement.php?evt_id=1540
朝の10時から整理券配るんだって。なんで無料なの。なんでなんで。

『オペラ・ムッフ』『ダゲール街の人々』

『オペラ・ムッフ』
(フランス、1958年、17分、35mm、モノクロ、英語字幕付き)
出演:ドロシー・ブラン、ジョゼ・ヴァルラ、ジーン・タッソ

『ダゲール街の人々』
(フランス、1975年、80分、35ミリ、英語字幕付き)
出演:アニエス・ヴァルダ(ナレーション)

http://www.institut.jp/agenda/evenement.php?evt_id=1533


『ダゲール街の人々(Daguerréotypes)』は予定と違って16mmでの上映。これすんごくいいな。マジシャンのマジックと映画の編集マジックの共鳴が愉快。金儲けではなくコミュニケーションとしての商いの風景。だからこういうのが大好きなんだってば。老人たちがみんなおしゃれ。下町の風景がカラフルで美しくて見とれてしまう。いろんな商売/交換する人たちが出てくる。香水屋(ヴァルダの娘が香水を買いに来たらその場で作ってくれる)、雑貨屋、時計屋、肉屋(肉ぶらさがり、「Not too big?」って口癖か?)、テイラー、クリーニング屋パーマ屋(おっちゃん背広着て髪切ってくれる)、パン屋(パン作るときのじいさんの手さばきすっげ)、自動車教習、アコーデオン専門店・教室、マジシャン!。みんな買い物したとき簡易包装でえらいね。インタビューが素敵。いつから住んでるのか、夫婦の馴れ初め、そして、夢は見るか!!。冒頭で出てきたヴァルダの娘がかわいかったのを見逃さなかったぞ。香水屋の物静かで憂鬱そうなMarcelおばあちゃんがタイプだ。Marcelおばあちゃんのおかげで映画自体がぐっと魅力的になっていると思う。


フランス語が聴き取れないので英語字幕で頑張る。まちの人たちの散文な会話はついてけるが、ヴァルダの詩的なナレーションは速くて半分以上ついていけない。でも映像が示してくれることで十分楽しめるのでいい映画だね。対象に対して、愛情たっぷりに、内側から内側から、でも重くなく軽やかに描こうとするのがよいなあ。

『冬の旅(Sans toit ni loi)』

出演:サンドリーヌ・ボネール、マーシェ・メリル、ステファーヌ・フレス、ヨランド・モロー
(フランス、1985年、106分、35ミリ、カラー、英語字幕付き)

冬の田舎道に行き倒れて死んだ少女モナ。誰も知ることのない彼女の身に何が起こったのか? 彼女と知り合った何人かの証言からモナの孤独な旅の物語が、少しずつ明らかになってゆく……。数枚のテキストのみで、アニエス・ヴァルダサンドリーヌ・ボネールが即興で作り上げていったロードムーヴィーの傑作。ヴェネチア映画金獅子賞受賞。セザール最優秀女優賞。

http://www.institut.jp/agenda/evenement.php?evt_id=1534


さほど何かが起こるわけではないけど、即興的な微妙なテンションが持続して不思議と飽きない。ああ、最初に「不可解にも彼女は死んだ」が提示されるから飽きないのか。何が起ころうとも、どこへ向かおうとも、最初に/最後に彼女は死ぬ。だとしたらその彼女の行方を見届けたくなるわけで。すごく単純な構造なんだけどこれで成立しているんだなあ。ヤギかわいい、こどもかわいい、無愛想な彼女Monaまでかわいい。


Monaが中心にあるかのようだがMonaがかかわっていくまわりの人々こそが見ものなのかもしれない。ただ一人でいるってどんだけ難しいんだよって思う。ただ一人でいるってことにチャレンジさせられたのがMonaなんじゃなかろうか。


Mona役の女優が観た事あるなあと思って、クレジットで Sandrine Bonnaire とあって、サンドリーヌって聞き覚えがあるなあと思って、帰って来て調べたらなんだ『彼女の名はサビーヌ』の監督した女優さんじゃあないか。『彼女の名はサビーヌ』は今年アップリンクで観てしびれたんだけど、姉サンドリーヌに対して自閉症の妹サビーヌがどうしようもない感じで呼びかけるときの声が忘れられない。


英語字幕ということもあり、かなり集中力が必要な映画だったので、いびきかいてるひとを起こしちゃった。めっちゃびっくりされてこっちが焦った。寝る気持ちはわかる。

コートダジュールの方へ』『ドキュメントする人』

コートダジュールの方へ』
出演:ロジェ・コジオ(ナレーション)
(フランス、1958年、24分、35ミリ、カラー、フランス語・字幕なし)
リヴィエラ、その異国情緒的雰囲気や観光地的、カーニヴァルエデンの園的色彩が際立つ、フランスの地中海沿岸のコートダジュールを訪れて撮られたドキュメンタリー。ひとつの島。一日の終わりに、海岸のカラフルなパラソルがジョルジュ・ドゥルリューの美しいシャンソンとともに閉じられる。

『ドキュメントする人』
出演:サビーヌ・マム、リサ・ブロック、マチュー・ドゥミ
(フランス、1981年、63分、ベータカム、カラー、フランス語・日本語同時通訳付き)
ロサンジェルスで、フランス人女性のエミリーは、愛する男と別れ、八歳になる息子マルタンと自分のために住む場所を探し、見つかったある場所に、道端に捨てられていた廃物から拾った家具とともに住み始める。彼女の混乱した心は彼女自身からよりも、彼女が眺める人々によって表される。

http://www.institut.jp/agenda/evenement.php?evt_id=1545

コートダジュールの方へ(Du côté de la côte)』太陽光の反射のきらめきが映画の輝きに昇華する。海も空も青いよ! 沖縄行きたくなった。とりあえず近場で。コートダジュールが楽しいのか映画が楽しいのかわかんないよ。楽しすぎるなー。


『ドキュメントする人』一転して暗い系。話自体は暗くないけど、褪せたような色合いで画が暗い。日本語通訳付きって始めて。寝てしまった。あほかと思われるかもしれませんが、いきなりちんぽぽろーん、いきなりおっぱいぽろーんっていうのが印象的。ぽろーんな感じを中心に観たらよかったのかなと今更ながら思う。