吾妻橋ダンスクロッシング09/09@アサヒアートスクエア


吾妻橋ダンスクロッシング09/09@アサヒアートスクエア。

ほうほう堂のダンスは犬がいると思いながら小気味よさと既視感と。contact Gonzoは進化しててすごく楽しかったけど、かつて六本木スーデラで客席のなかでもごもごと急に始まったときの興奮が恋しい。椅子席じゃなければ客先飛び込めるんだろうけど。快快はいい匂いで笑ってファイファイフードが初めて美味しかったよ。鉄割は吉本新喜劇。耳をふさいで康本雅子に見とれる。繊細な指先・足先の動きにしびれる。何気に康本さんみるのは4回目くらいで、そもそも2008年3月放送のトップランナーで康本さんを知り、それから、吾妻橋ダンスクロッシングを知ったんだった。Line京急は気持ちいいけど、大谷能生さんの自然状態(立ち方・歩き方)が異空間でいつも見とれる。チェルフィッチュをやっと生で観れた。のがとりあえず嬉しすぎる。あと伊東沙保ファンなので団扇をあおいでいらっしゃる(敬語)だけで嬉しい。アイテムとしてホットペッパーは既に死んでいると思うけどいいのか。ホットペッパーのそばにあるような人間関係のあほらしさ・虚しさはとてもよくわかるけど。飴屋法水さんのは怖かったな。たくさんの声が聞こえたような、絶対に聞こえなかったような。飴屋さんの「顔に味噌」の方が「VOISES」だし。



一目散に銀座シネパトスへ大島渚二本立てを観に走った。

(DVD)『ダージリン急行(The Darjeeling Limited)/ホテル・シュヴァリエ(Hotel Chevalier)』(Wes Anderson,2007)


朝、DVDで『ダージリン急行(The Darjeeling Limited)/ホテル・シュヴァリエ(Hotel Chevalier)』(Wes Anderson,2007)を観る。音楽とスローモーションのための映画。画面の横の長さがずーっと気持ちいい。



『ホテル』は短編であるが故に瞬殺されて心地よく死ねる。男と女の半端な出会い方、唐突なキスの始まり、ゆったりした音楽に乗るスローモーション、部屋の内から外への場面転換、外に出たときの黄色と青、で終わり。で終わりて堪忍して。



『急行』は、すでに始まっている始まり、疾走するスローモーション、旅行バッグ(特注のLouis VuittonMarc Jacobsデザイン)投げまくり、 カメラぐるぐる回転もう一回転、最後が最初の繰り返し、みたいな快感のかたまり。音楽はおしゃれとしかいいようがない。観終わると、シャワー浴びたみたいな、さっぱりした気持ちになる。ただ、こざっぱりしていて、やや窮屈な感じもする。画面に押さえ込みすぎてるような。それは鉄道の車両が窮屈だからではないと思う。インドも窮屈に感じた。家のテレビで観たからとか? 機会があれば映画館で観てみたいな。いまのところ恵比寿ガーデンシネマで観た『ライフアクアティック』の方が好き。4年も前の自分と比べるなんてフェアじゃないっ!


ここの写真がよく伝わる
http://www.dvdbeaver.com/film2/DVDReviews35/darjeeling_limited.htm

大島渚『少年』『絞死刑』

『少年』
   1969年/大島渚プロダクション/99分/田村孟脚本/渡辺文雄主演
『絞死刑』
   1968年/大島渚プロダクション/117分/田村孟、深尾道典、佐々木守大島渚脚本/佐藤慶主演

銀座シネパトス 日本映画レトロスペクティブ―Part3―〜愛と性、体制と権力 大島渚 闘いの歴史〜


忘れないうちに。電車で帰れない日が続くので仕方なく手短に。


『少年』は単純な話のように見えて、少年が海に行くシーンからの続き方がよくわからなかったのと、カラーと青っぽい白黒と赤っぽい白黒と3種類くらい色を変えてたと思うんだけど、それでどうしたっちゅうねん状態で、何にもわかった気になれなかった。大島渚をいくつか見たので、小山明子という女優が好きになってきた。なぜ常に眉毛がないのか。平安妖怪ぽさが漂っていらっしゃる。当たり屋として食ってくことにした家族の話なわけだけど、だれが悪いのか、だれがあほなのか、はっきりしないのはいい。ああああ思い出した、2歳くらいのおちびちゃんがかわいすぎたんだった。後半の北海道あたりなんかこどもがかわいいだけの映画になってたよ。あと事故にあう車の中の少女がかわいい。あとビンタのオンパレードも楽しい。もちろん子供だってビンタされる。強いのか弱いのかよくわかんないガキんちょっていいよね。


『絞死刑』は喜劇と知らないで観たらずっこけた。ずっと死刑囚のことをみんなが「R」て呼ぶのが可笑しい。姉みたいな女性が出てきてそいつもまた「R」と呼んでからに。「R」は何の頭文字なのかという問題のこたえはわかんなかったな。で、あまりにも死刑囚を除く全員が役者として全力で笑かそうとしてくるので、こっちは力が抜けてしまって、だんだんもともととぼけた顔つきの佐藤慶なんかがコメディアンにしか見えなくなってくる。いよいよ茶番劇が終わって、死刑囚は死刑になるわけだけど、ここで日の丸と死刑囚の顔を重ねたりして、いつもの大島渚らしい画とセリフのかけあいが始まるので楽しい。死刑囚が急に無罪になったりね、死刑場から出ようとしたら外がまぶしくて、検察官様が「外は国家だ」とか言ったりね。死刑囚にあなたは国家ですかと問われて、佐藤慶が「いやいや、私なんかみんなのうえにふわーっと乗ってるだけで」みたいなことを言うので笑い死にそうになる。

フレデリック・ワイズマン『チチカット・フォーリーズ』(1967)『高校』(1968)『福祉』(1975)

前日、木のかおりのする44度の泡盛を堪能したせいで朝起きられず。痛恨の日仏アニエス・ヴァルダ空振り。早く寝て早く起きるひとになるぞっと本気で。


ユーロスペースにてワイズマン三本立て。

  • 『チチカット・フォーリーズ』Titicut Follies 1967年/84分/モノクロ
  • 『高校』High School 1968年/75分/モノクロ
  • 『福祉』Welfare 1975年/167分/モノクロ

(特集:ワイズマンを見る/アメリカを観る ―アメリカ社会の偉大なる観察者、フレデリック・ワイズマンの世界)



右端のおばちゃんの化粧?がすごい気になる。

フレデリック・ワイズマン監督最新作『パリ・オペラ座のすべて』公開記念。


伝説の問題作『チチカット・フォーリーズ』、日本初公開作品『エッセネ派』、上映時間6時間に及ぶ超大作『臨死』、華麗なる『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』・・・。巨匠ワイズマンが見つめ続けた現代アメリカの現実虚構(リアリティ・フィクション)。怒涛の18作品一挙上映!


1967年の『チチカット・フォーリーズ』以来、“現代社会の観察者”として独自の映像表現を展開し続けているドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン、40数年にわたり、学校、病院、警察、軍隊、裁判所、福祉施設、議会など、アメリカの様々な施設・組織を撮り続けてきた。
ワイズマン自身が “〈われわれの生活様式の博物誌〉を紹介するドキュメンタリー・シリーズ”という作品群には、悲劇的であると同時に喜劇的、深刻でありながら滑稽でもあり、複雑であると同時に素朴(ルビ:ナイーヴ)、絶望の中にもユーモアが光る、矛盾に満ちた魅力的な“アメリカ”が映し出される。

http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=225



『チチカット』『福祉』はみんなタバコ吸い過ぎ。タバコは貧乏人と黒人とバカが吸うもんだって言ったのはフィリップ・モリスの社長だという笑えない話があった。ちなみに同時代の日本人男性の喫煙率は80%超え。『チチカット』『高校』は音楽がいい。絶対ワイズマンは音楽流れてるのが好きなんだと思ったけど、『福祉』は音楽がなくて意外だった。『高校』のサイモン&ガーファンクル♪をバックに廊下に一人立つ女子の短いショットが美しすぎる。女子のダンス練習シーンが素敵。サングラスかけて授業受けてるし!とか。ドキュメンタリーの零度において、人々が生きているフィクション/物語がフィルムに焼付けられていくのがすごいことだ。『チチカット』のすごさってそこだね。ちなみに『チチカット』だけ観るのはもったいないことだと思う。


被写体はなぜ撮影させてくれるのかどうしても気になったので調べた。ワイズマンは弁護士の資格を持っているらしく、了承を得るためにきっちり契約しているとのこと。ここから仮定に基づく空想。撮影前に契約したんだとして、契約したからといってあんなに堂々とできるものだろうかという謎がある。アメリカっていったい、っていう話。『チチカット』の看守・囚人たちのケースは微妙だが、微妙だからこそ91年まで公開されず、「合衆国裁判所で一般上映が禁止された唯一の作品」になってしまったんだろう。



精神異常犯罪者の厚生施設・高校・福祉センターの中で、近代的な装置と野生としての人間が葛藤している様をみることができた。ときに刺激的だったり、ときに退屈だったりしたけど、この経験は動物園の動物を観るのととても似ている。しかし人間に飼われているのもまた人間であるという点で、これらは特別な見世物になっている。誘導的/啓蒙的なパッケージ化処理がほとんどされていない(後付けの音楽無し・字幕無し)ので、受容の仕方は観る者にほぼ委ねられている。その委ねられているような状態こそが、ワイズマンのドキュメンタリーを観るときの醍醐味だろう。そして、もちろん『選挙』『精神』の想田和弘の観察映画がとても近い位置にある。どちらもそこで生きている人間に寄り添った良質のドキュメンタリーであることは間違いない。だが、佐藤真『阿賀に生きる』の寄り添い方を知っている身としては、何か違和感がある。おそらく「知ること」と「共感すること」のあいだの話なのだろう。まだまだ考えたいところだけど早く寝れなくなるので以上。想田さん(ニューヨーク在住)のはアメリカからのカメラだよねという話で以上。カメラを通してアメリカなんか観てもつまんないわけで、ワイズマンのカメラを見ることで「アメリカを観る」ことができそうじゃないかと風呂敷広げて寝る。逆に日本が見えるわけで。フーコーを絡めるとまた違う角度から見える(実は近代装置が未熟さをはらんでいてうんぬん)わけで。


蓮實重彦様のお話とか、ワイズマンの対談インタビューとかを読むと面白いですよ。ワイズマンがえらい素朴なこと言うのでびっくりする。あの顔にドキュメンタリーの秘密があるのか。
http://kanazawa-comcine.to.cx/event/event05/gokui03/index.html
http://www.yidff.jp/docbox/12/box12-1.html


あとは、『霊長類』『肉』をなんとか都合つけて観たいところ。毎度のことながらユーロスペースに感謝。




filmemoさんと並べてリンク貼ってもらえた。うれしい!
http://www.bloglines.com/blog/okeyano-onikiti?id=194

柿喰う客『悪趣味』


柿喰う客『悪趣味』@シアタートラム


ごわごわしたかっぱ劇場の1回目と、終盤でのリンチへの展開、だけ笑えた。子供のゆるさは見ごたえがあった。露悪的な装いで、実は、悪趣味なのはあんたらじゃないの?というのはわかるんだけど。シアタートラムとはいえ、やっぱハコの大きさってばかにならないんだなあと思った。


『月並みな話』@新宿シアターミラクル、『恋人としては無理』@横浜STスポット、『学芸会レーベル』@駒場アゴラ、と、ここ最近の小劇場での中屋敷演出を全部2回ずつ見てきたような人間としては少しさみしいけど、こういう流れってしょうがないのか。リズムやテンポや疾走感はもう捨てちゃうのか。


それにしても、トラムシートという半立ち見席は遠すぎてまずった。せめて前から3列目くらいまでならもう少し楽しめたかもしれない。

六本木からの帰り道の出来事・予定など

六本木の青山ブックセンターに寄る。前から気になってたけど全くもって素敵な本屋だね!。ギター曲が流れていたのでお店に聞いたら高橋ピエールさんというひとのアルバムとのこと。http://www.pierre-record.com/ メモして帰ってきた。ユリイカのバックナンバーがずらり並んでいて、イーストウッド特集号を買おうか悩んで買わない。結局何も買わない。最近けちなのだ。


電車の中で爆笑した話。浅草線での帰り、酔っ払いのおじさんサラリーマンが隣に座ってきて、独り言いいながら話しかけてきた。いや、半ば独り言というべきだな。話しかけるような言葉(なあ?とか)を独り言として言っている。とりあえず東京砂漠モードで無視して無かったことにしようとしてたけど、こいつには恐れ入った。まずけん制として、何の脈絡も無く、右手をぷいっと振りおろして「そっちかい!」て言いやがった。つっこみ入れた!と思って半笑いしてしまう。反応示したら絶対つかまる、相手すんのはさすがに面倒だろ、とか思ってたら、五反田駅で降りるらしく立ち上がったので、ふーあぶなかったと思ったら、なんとやおら一礼して「すいません ありがとうございましたっ」って叫んでいきやがった。さすがにこれには耐え切れず吹き出しちゃったよ。一駅のあいだずっとこみあげてくる笑いが収まらず。あいつ神だなあ。


映画を観に行って寝るのがほんまにあほすぎる。決めた。これまでの生き方を全否定して、早く寝るひとになることにする。もう1時やで。


予定など。明日は柿喰う客の「悪趣味」観ようと思ってたのに24時過ぎて予約できずがっくし。でも当日券出るそうなのでまあいっか。サンガツのライブ行きたいなー。内澤旬子さんの豚を食べる日は悩んでるうちに予約埋まっちゃったそうで残念。ユーロスペースのワイズマン全部観たいし。日曜の吾妻橋ダンスクロッシング、チケットが1枚余ってるんだけど誰かいりませんか。

月刊ヤマガタ『思いやりの話』『不思議なクミコ』@シネマート六本木

月刊ヤマガタ@シネマート六本木


『思いやりの話』の途中で寝てしまって起きたら『不思議なクミコ』だった。起きてから作品が変わったことに気づくのに少し時間がかかった。そんな二本立て。『思いやりの話』はナレーションが中心にあるんだと思う。そして他者の言葉を語り手が引用する際に、それはエコー処理されて、言葉の引用ではなく、声の引用のようになっている。何が声の引用だよ寝たくせに。


『不思議なクミコ』を途中から見始めて、傑作の予感がしてきて興奮し出しはじめたら東京モノレール(大好き風景!)のシーンになって終わってしまった。日本人が切り取った風景ではないのに、そうとも思えない。これみよがしなショット(商店街の国旗のクロースアップとか)はフランス人だからか? 1964年の東京はいびつで素敵だったなあ。よかったよかった。